青森生存権裁判勝利へ要請・院内集会 茂木ナツエさんが訴え

2015年12月10日(木)、生存権裁判を支援する全国連絡会は最高裁要請、院内集会など行動しました。最高裁第2小法廷に係属している青森生存権裁判について、約40人が最高裁西門前で宣伝、次々とマイクをにぎり「生活実態を見て公正な判決を」と訴えました。午後1時から最高裁要請に入り、個人署名3,827筆、団体署名2団体を提出、累計3万3,377筆になりました。門前払いすることなく大法廷に回付し口頭弁論を開くことを要請しました。

午後2時から3時半まで50人の参加で院内集会が開かれ、埼玉、千葉、東京、神奈川と中央団体が参加しました。「裁判の到達と課題」について渕上隆弁護士・新井章弁護士が報告。福岡高裁で勝利したことの意味は大きく、下級審では生活実態に触れた判決がいくつも出されていると。さらに、裁判所は「加算だから問題ない」と言っており、逆に生活保護本体ならば許されないということになると説明しました。新井章弁護士は、憲法25条の中身は「われわれが運動で充実させていかなければならない」と述べました。

院内集会で訴える原告・茂木ナツエさん

院内集会で訴える原告・茂木ナツエさん

青森原告団長の茂木ナツエさん(84歳)は、老齢加算の廃止に加え、保護基準も冬季加算も引下げられて「毎日生きているだけ。人付き合いはお金がかかるので我慢し、孤独を感じる。どこまで保護費を削っても生きられるかを試されているようだ」と訴えました。

運動交流では、支援する会や新訴訟の原告など8人から発言がありました。井上会長は、生存権裁判が最終段階に入ってきており署名を10万、100万と集めようと呼びかけました。

 

青森生存権裁判 最高裁のたたかいについて 15.12.10

青森生存権裁判原告団長 茂木 ナツエ

 私は老齢加算の廃止処分に対し、その取り消しを求めて闘っている青森県の7人の原告団の団長をしている茂木ナツエといいます。84歳になりました。

 2007年4月に青森地裁に提訴してから9年目になり、思った以上に長い裁判不安や疲れも大きくなっています。「私たちのくらしを壊すような保護費の引き下げはしないでほしい」、ただこれだけのことを訴えるのにこれほどの年月が必要なことに怒りも感じます。

 憲法で保障された「健康で文化的な生活を守ってほしい」との思いで、弁護士の先生方や多くの仲間に支えてもらってきましたが、とても一人の力ではここまでがんばってこられませんでした。

 青森地裁では、憲法や法律のなどのことは、私はあまりわからないので、「自分で訴えられることを」と生い立ちや普段のくらしの状況、雪が多く冷え込みも厳しい冬の期間が長い青森県で特に苦しいことなど、裁判所でお話したり、文書にまとめたりして裁判所に提出しました。原告みんなで青森地裁の裁判長に手紙を出してお願いもしてきました。

 しかし、そういう実態について、判決ではふれてもらえず、国の判断にまちがいはないという冷たいものでした。

 仙台高裁では、最初の弁論で裁判長が、「私の声が聞こえなければ言ってください」と優しい声をかけてくれ、証人尋問も認めてくれるなど、話もきちんと聞いてくれている態度だったので期待していましたが、判決前に裁判長が交代してしまいました。結果としては敗訴でしたが、判決の中で、私たちのくらしが一層苦しくなったことや、老齢加算で普通の保護基準では足りない部分を補っていたことにふれるなど地裁の時よりはいい内容だったと聞きました。

 原告団のみんなと一緒に最高裁に上告しましたが、体がどんどん悪くなって、毎日が生きていくのがやっとのくらしです。本当に生きているだけで、食べたいものも食べられず、外に出たり人づき合いをしたりするとどうしてもお金がかかるのでできるだけがまんしています。腰やひざが悪いうえ、栄養不足から貧血になり、歩いていると足元がふらつくこともあります。転びやすくもなり、転んだ拍子(ひょうし)に昨年11月には左手を、12月には右手を骨折してしまいました。外に出られないことも影響しているのだと思います。私は人の中で話をするのが何よりの楽しみなので、4年前に夫を「原因不明死」でなくしてからはいっそう孤独を感じつらい毎日です。

 おととしの8月からはさらに生活保護が少なくされ、毎月67,460円に減らされました。消費税が上げられて昨年4月に少し上がったのを除けば、3年間では引き下げられる前より毎月3,390円も少なくされました。毎日お金のことばかり心配しています。物価が下がったからと国は言いますが、食事や電気、灯油代などの物価は上がるばかりで、節約しても節約しても日々のくらしは苦しくなる一方です。

 老齢算廃止で保護費の2割も削り、何を理由にこれ以上私たちを苦しめるのでしょうか。声をあげられない私たちの年代をねらって、どこまでなら削っても生きていられるかと国にためされている思いです。生きてさえいければ良いというのではとても人間らしいくらしとは言えないです。

 また、3年連続の生活扶助費減額に続き、今年は冬季加算が減らされました支給期間は2か月延長されましたが月々の支給額が減り、一人暮らしだと一か月9,540円も減額され年間の差額は22,620円にもなります。これでは、必要な分の灯油を買うことができません。また、冬季加算は、灯油代だけでなく冬に必要な物も準備しなければなりません。このままでは寒い青森で冬をのり切れるか心配です。この大変さをわかってください。

 前に自分が書いた日記を読み返してみると、「さみしくてお金もなくて死にたい」何回も書いていました。

 苦しい生活の中でそういう弱い気持ちになったときには、亡くなった夫の写真を見ると、「負けられない、がんばらなければ」という気持ちになります。夫もこの裁判を応援してくれていたので、勝利の判決が出るまで一緒に闘っていてほしかったと思います。

 この裁判を闘ってきた中で、生活保護基準は多くの国民のくらしにも関係していることを学びました。すべての人が人間らしく生きられるよう、私たちと同じように苦しむ人がいなくなるように最後までがんばっていきたいと思います。